お兄ちゃんはいちご味
第9章 夏休みのひみつ
「なにそれっ、麻くんだって可愛いって言ってくれたもん!」
「俺は結構好きだよ。果乃ちゃん似合ってるし」
イラッ…
麻人の爽やかな笑顔がムカつく。
「果乃ちゃん、そんなことよりバナナボート乗りに行こうよ♪」
「そんなのあるの?」
「あっちで借りられるよ。あ、捺くんも乗りたい?」
バナナボートって…
そんな女々しいボート、誰が乗るかよっ!!
「俺はこっちで泳ぎたいからいい。」
「そう?じゃあ行こっ、果乃ちゃん」
「うん、」
果乃はむくれた顔で俺を睨んでから、二人は向こうのプールの方に歩いて行った。
俺は25メートルプールに浸かって二人の後ろ姿を見ていた。
「………チッ」
思わず舌打ちする。最近果乃には少し冷たくしているかもしれない
だけどこうでもしないと、果乃に俺の気持ちを悟られてしまいそうで怖かった。
ゆりへの後ろめたさもある