お兄ちゃんはいちご味
第16章 取り引き
「昨日はちょっとがっつきすぎたよね…ごめんね?」
ピチャ…ピチャ…
耳元で囁きながら首筋を舐める
息が耳にかかって、身体がぴくんと反応する
「…っ…」
「今日はちゃんと気持ちよくしたげるから、声我慢しないでいいよ…」
チクッ…
「んっ……」
あ、またこの感じ…
噛まれたところから全身に広がっていく感じがして、だんだんと甘く痺れていく…
何も考えられなくなる…
あたしはお兄ちゃんのこととかこの体質のこととか全部忘れて
ただただ血を吸われる感覚に没頭していた――
「…っはぁ…めちゃくちゃ美味しかったよ果乃ちゃん♪」
血を吸い終わって、麻くんはまたいつもの笑顔を見せた
まだ頭がぼーっとする…
今何時だろ…
「大丈夫?起きれる?まだ慣れないから辛いかもね」
「ん…」
麻くんはあたしを抱き起こし、カプセルを口に含んだ。
「ご褒美だよ」
「え…」
ちゅっ…
「んっ…!?」
麻くんはそのまま薬を口移し、小さなカプセルと共に麻くんの熱い舌が入ってきた
これって…
キ、キスっ…!!
「あ…さくっ…んっ…!」
クチュ…クチュ…
ピチャ…
あたし、麻くんと…
キ、キスなんてっ……!!
頭がぼーっとして、状況が把握できない
血を吸われたばかりで力の入らない身体は、簡単に麻くんのされるがままになってしまった―――