お兄ちゃんはいちご味
第10章 真っ赤な果実
「果乃ちゃん、はやくはやく!」
「待ってよ麻くんっ…」
麻くんに連れられて家の裏にある森みたいな庭の奥までやって来た
お昼近いのに、お兄ちゃんはまだ寝てるみたい
「あ、これ…」
「綺麗でしょ。」
そこにあったのは、真っ赤な実をたくさんつけた大きなすももの木
「すもも、果乃ちゃん大好きだったよね?」
「うんっ、大好き!」
「…昔さ、この木の下で話したこと、覚えてる?」
「え?」
「俺、結婚しようって果乃ちゃんに言った」
急に麻くんが真面目な顔になるから、思わず固まってしまった
「えっと…」
「まあいいや。その前に許婚の話、知ってるよね?」
戸惑うあたしに、またいつもの笑顔に戻る麻くん