優しくしないで
第9章 古傷
俺は…
おじさんが来るまで、おばさんの側にいたが…
一言も会話はなかった…
ただただ…泣くおばさんを…
視界に入れて、壁をみていた
声なんか…かけられない
おじさんに挨拶をして…
………病院を後にした…
来た時とは…
スピードもテンションも
倍以上に落ちていた…
あの、ニコニコしていたおばさんの顔が…怖かった…
あの、爽やかに笑うおじさんが…笑わなかった…
奏は…
今…自分の状況を知らされて…
未来を想像できるのか…
キラキラした顔で…
未来を語れるのか……
奏……
お前の泣き顔は…
見たくないな……