優しくしないで
第13章 夕暮れの彼女
「…静……お前…」
剣の声に…ゆっくり…
振り向く…静ちゃんの…
顔が………
怖かった
静ちゃんは…
黒い服に身を包み…
花束を…片手にぶら下げ…
策を掴んでいた
「…静!!!お前!!!」
剣が、静ちゃんの佇む姿を見て…
声を荒げた!!!
『…………今日、太一の…火葬と…葬式だったんだよね…』
ボソッと…
聞き取りにくい声が風に乗って聞こえた…
『……うん…』
私の声は…震えていた…
まさか…静ちゃん…
『・・・・・・そう・・』
静ちゃんは…
俯き…策の外を見た…
私は…震える手で
仁さんの腕を掴んでいた…
怖い…
怖い…
こんなに生きている人間を…
恐ろしいと…
思ったことはない…
「…留美ちゃん…大丈夫…」
仁さんの声も…微かに…
震えている…