優しくしないで
第13章 夕暮れの彼女
違う!!!
太一は――――――
静ちゃんをいつも
…可愛いと…思っていた
自慢の彼女って―――――
太一は…
静ちゃんが…好きだった
『…そんな、顔しないで…留美ちゃん…
私は…太一奪って…
いい気味だって――――笑ってたんだから……』
静ちゃんの…
顔が…見えない…
影で…見えない…
『…だから…罰が…沢山…きた』
え―――――…?
『…留美ちゃん…が…怪我して
全てを失った時…
私の罰が…始まった…』
グッ……
仁さんの手に力が…入った…
『…あの時…
逆恨みで…太一を奪った事…後悔した…
私が…太一を奪っていなかったら…
陸上を失っても…
太一だけは…失わなかったかもしれない…
全て…失ったと…考えなかったかもしれない…って…』