優しくしないで
第15章 着色の一歩
奏……お前の時も…
ただ…側にいればよかったのかな?
奏………
俺は…いま…
いや……
言わない…思わない…
太一には…勝てそうな気がしないから
あいつは…凄い奴だった…
二人分の…どうしようもない黒い思いを抱えこんで…死を選んだ
死を持って……
二人の少女を…
呪縛から解放したのだから…
俺の想像を遥かに超えるストレスだったに違いない…
太一…お前は…
凄い大人に…
なったかもしれないな…
太一……留美ちゃんを…守ってくれてありがとう…
静ちゃんをちゃんと受け入れてくれて…ありがとう
俺は開店の準備をしながら、外を見た…
朝の通勤する人々……
…留美ちゃん…
君の隣で…俺の方が…
救われてしまった…
今日…留美ちゃんに
会いたいな……