優しくしないで
第15章 着色の一歩
昼の休憩を挟み、フロアに出ると…
大さんが入口で女性と筆談で会話をしていた…
しかし、大さんは時折困った顔をしていた…
「…大さん、どうしました?」
「あっ…仁…このお客様、耳聞こえないらしく、筆談で、やり取りしてたんだ…しかし、上手く噛み合わなくて…
ネットで予約していただいたらしいけど…」
「あ…なら俺、手話出来ますから。聞きますか?」
「仁、手話出来んの?」
「まぁ…独学ですけど…」
俺は、手話でお客様と話をした…
〈いらっしゃいませ。〉
《!?よかった〜、手話が出来る方がいて。》
女性はホッとしたように話し出した。
〈ご予約、ありがとうございます。原田様ですね?〉
《ええ、筆談覚悟で来たから…》
〈私も、独学での手話です…伝わり憎かったらすみません。〉
《今のところ、大丈夫よ!ハハハハ
始めてだし…このまま貴方に任せていいかしら?》
俺は、大さんに、お客様を任せてほしいと頼んだ…
「ああ…新規さんだ、よろしくな仁。」