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優しくしないで

第15章 着色の一歩

〈今日、原田様を担当します。佐藤です。よろしくお願いします。〉



お客様は微笑み頷いた…





いつ会えるか解らない…

奏のために…独学で学んだ手話が…こんな形で役に立つなんて……



少し複雑になったが…




奏も…


俺を強くしてくれたのかな?







〈さて、原田様は…本日はどのようにされますか?〉



《…うふふ、私ね赤ちゃんが出来たの!
待望の…赤ちゃん
まだ、お腹目立たないけど…5ヶ月に入って…気合いを入れなきゃって思ってね》



〈おめでとう、ございます!!!…しかし、待望って…〉



女性はお腹をさすりながら…微笑み…


《私たち結婚して10年…
子供ができなくて…
やっと…授かった命なの…》


〈10年…ですか…〉


《もう、いい歳だし…障害も有るし…諦めてたんだけどね…
今年…自然に妊娠したの…きっと、赤ちゃんがね…“諦めるな!まだまだ、生きてやれることは有るはずだ〜”って…言いにきたのかな?って》



ドキンとした…


女性はキリッとした…覚悟の決まった…まっすぐな目をしていた





母になる女性の強さを…


俺は女性の瞳から…感じた…




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