優しくしないで
第17章 消える訳がない…
帰りに…花を買った…
その足で、太一のマンションに向かう…
一ヶ月……
時間は一秒、一秒進み…
ここまで来てしまった…
愛美の件がなかったら…
私は…入間さんの言う…
“無”の人間のままだった
私は…一ヶ月前に夕日を見た…太一の自宅マンションに向かった…
マンションの太一が倒れた場所に…花束があった…
私はそれを横目に…屋上にあがる階段に向かう…
一段…一段…
一ヶ月前の…
太一の葬儀の日を思い出す…
会いたい…
まだ…そんな事を…
考えてしまう…
日が短くなり…
あの日よりも…早く…空がオレンジ色に染まる…
あと…一段…
私は…
屋上に足を踏み入れた…
『……太一…?』
そこには…
夕日に照らされた立つ…
太一が…いた………