優しくしないで
第17章 消える訳がない…
空が…夜に染まった…
光一さんのタバコの火が…やけに明るく見えた…
「…冷えてきた…君も…帰りな?」
『はい……』
「えっと…君…名前…」
『…澤口…留美です…』
「……ありがとう……
………留美ちゃん…」
私は…光一さんと別れ…
一人…歩き出した……
秋の風が…頬に触れる…
風だ…
走っていた時とは違う…
優しい風…
太一…
風が、気持ちいいよ…
私は…この気持ちと…
上手く…付き合っていけるかな?
解らない…でも…
付き合って行かないと…
進めない…
生きていけない…
だから…
今は…この胸にしまって…
歩こう……
いつか…
気持ちが…走るまで…