優しくしないで
第19章 遺品…
「…剣くん…と、留美ちゃんは…陸上部だったんだよね…」
光一さんは…静ちゃんから離れると…
私たちに箱を一つづつ手渡した…
「…留美ちゃんには大きいけど…剣くんには…いいんじゃないかな。
シューズ…」
箱を開けると、未使用の陸上用のシューズが入っていた…
「太一のお気に入りだったメーカーのシューズ…
マイナーなシューズメーカーだったけど、太一は気に入ってて…スペアが調度二足のあって…
形見ってのも変だけど…
受けとって欲しい…」
私たちは…シューズを見つめていた…
「…受け取ります…
サイズは…俺と太一は一緒でしたから…
太一の目指してた大学のトラックを…俺が履いて走ります!!!」
剣は…シューズを握り締め…
光一さんに笑顔で答えた…
『…私も…受け取ります。
シューズと共に…私も成長したい…』
「…ありがとう…みんな」
光一さんの目には…涙が滲んでいた…
「太一……
兄ちゃんが出来る事はもうない…
みんなと…成長しろよ」