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優しくしないで

第21章 宝物




『留美、ご飯分けてテーブルに並べてちょうだい?』


『うん…』




やはり…私の中で何かがかわって行っているのか…



形見のシューズをもらってから…



母の晩御飯の手伝いをしたり…家事を手伝うようになった



前は、学校から帰ってきたら部屋にいて手伝う事なんてしなかった…




『…留美、無理しなくていいのよ?』


お母さんが心配してくれる…


大丈夫なのに…



くすぐったくて…少し嬉しい…



『大丈夫…お母さんも仕事してるし…大変だなぁ〜って…やっと気がついただけだから。
就活してるとね…いろいろ見えて来るみたい。』



『そっ?
お母さんって偉いでしょ?』



『うん、感謝!感謝!』



笑いながら…親子でキッチンに立つなんて……



怪我した時は…考えれなかった…




『留美…就活…うまく行かなかったら、専門学校とか…短大とか…行ってもいいのよ?』



また…甘やかす…


母親だもん…心配するか…





『…大丈夫…
ダメでも、バイトとかするし。
我が家には…金食い虫が誕生するんだよ?
医者になるまで…皆で働こう』




『誰が…金食い虫よ!!!』



お腹をすかせた愛美が、マグカップを置きにキッチンに入ってきた…



『愛美の事だよ!
あっ!!!マグカップ自分で洗いなさいよね!!!』


ブー、っと愛美は渋々カップを洗い出した。



怪我から…もうすぐ二年…


私は…こんなにも暖かい家族に支えられていた事を…


気づかずにいた…





自分だけ…


不幸で…辛くて…




現実から逃げたくて…


助けを……




まだ…大人になりきれない…



子供同士で埋めようとした…





大人は…両親は…家族は…



解ってくれないと…



勝手に決め付けて………







勝手に…深い闇に…



甘い…闇に…




逃げた







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