優しくしないで
第25章 初恋
ドキン…ズキン…
―――――ズキン…ドキン…
『逢いたいって…逢いたいって…思ったの…』
「俺も……逢いたいって…」
私は…ストールの掴む手を…仁さんの背中に回した…
『……恋しいって……
太一が死んでから……思った事…なかったのに…
愛しいって……太一が死んでから……思った事…なかったのに…
今すぐ…
逢いたいって……
太一以外に…思った事……
なかったのに―――――…
太一が………一番で…
太一が…………太一が…
仁さん……を…
逢いたいって―――――…
逢いたいって――――…』
何を言っているのか…
口から…整理できない言葉が…
どんどん出てきて…
凍えている口は…うまく開かなくて…
涙と…声が……仁さんの服に吸収される……