テキストサイズ

優しくしないで

第26章 喝采…



あっという間に…最後の曲…



最後の曲は…



奏さんが自ら作曲した曲…


【奏】




自分の人生を振り返る…


そんな意味合いの曲だと…
パンフレットにはあった…




辛い過去を思い出し…


仁さんの事を思いながら作ったであろう…【奏】…





奏さんは…仁さんの事を…どう思い…作ったのだろう…



少し…聞くのが怖かったが…






奏さんの指は…


最後の曲を…生み出す…






キュッと…仁さんの手を握る…




『…大丈夫…奏なら…』




仁さんは…奏さんの曲が…



いまに続く…美しい曲だと…



確信していた…









私は…頷き…


奏さんを見つめる…






【奏】は…





静に…暗く…深く…


時に……無音に……



そして、また深く…




次第に…高く…明るく…深くなる…



明るさに重さが加わる…


しかし…また…明るく…





複雑で難解な音の数々…





でも…解る…




音で…希望と罪悪感…


未来と過去…を…感じる…








やっぱり……凄い…




奏さんの曲に――――…




ドンドン引き込まれていく…







凄い……








奏さん………







『……………』





クライマックスなのか…盛り上がる…しかし、その中にはまだ…微かな罪悪感が残る……



しかし…それを纏い…



穏やかになる――――――…







奏さんの指が…鍵盤から離れ…




膝の上に………





ストーリーメニュー

TOPTOPへ