黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第10章 正々堂々
あ、忘れてた。
そうだそうだ
あたしは陰気なしつこいいじめが始まってたんだ。
かずと帰った次の日、学校の門の前であたしは現実を思い出す。
昨日の数人の女子があたしを待ち構えていたようだ。
うわー…、
めんどくさいな、おい。
歩き出すのを渋っていると、
まぁまぁご丁寧にそちらからお迎えですか。
ぐっと身構えて女子たちの行動を伺った。
何も言わず、ただ見つめ合う(睨み合うとも言う)。
と、放たれた言葉は予想だにしない言葉だった。
「昨日はごめんなさい!!」
バッ!
と一斉に頭が下げられる。
麗「ぅえ?!」
思わずあたしも身を引く。
女子たちは少しだけ顔をこちらに向けて、それでも腰は曲げたまま話し始めた。
「あたしたち、あなたに言われてやっと決心が着いたの!ほんとはどこかでわかってたの。『ファン』なんておかしいって。そもそも『ファン』ってなんだろうって。だけどそれを認めちゃうとなんだか…、なんて言ったらいいのかな…。負けちゃうかもしれないって…。傷つくかもしれない…って…。それが怖くてわかっててもやめられなかった…。だけど、あんなくだらない、あなたに酷いこと言った昨日のあれね。あれだって自分たちを守るためで…。二宮君にも言われてやっと…。やっと、おかしいって、間違ってるって認めることが出来たの…。」
早口で、でも必死にあたしにそう告げる女のコはどこか、寂しそうで…
可愛かった。
「…今更だけど…、ごめんなさい」
その言葉に他の女のコも一斉に『ごめんなさい!』と声を揃えた。
「…それと…、ありがとう」
麗「え?」
ごめんなさいはなんとなく想像はつくけどまさか『ありがとう』なんて、思ってなかった。
「…腐ったあたしたちが…、まともな考えになれたのはあなたのお陰よ」
…あたしなんて何もしてないのに…。
麗「あ、もっもういいよ。わかったから。あたしこそ昨日は言い過ぎた。ごめんなさい。ほら、頭あげてよ」
あたしは困ったように笑って彼女の肩をポンポンと叩いた。
「…ありがとう」
そのあと彼女は
みんなこれからは正々堂々と頑張る
と言ってくれた。
ん?
これじゃあ、あたしもかずのこと好きみたいじゃんかぁ!!