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雨の人

第6章 キスの先にあるもの

今日は ホワイトデー



でも日中は、
俺もゆきも仕事


だから
ゆきは仕事帰りに
俺の部屋で
待ってるはずなんだ



バレンタインから一ヶ月



ゆきに
俺の部屋の鍵を渡してから
ゆきは時々
部屋に来てくれるように
なっていた



…………



あ~~っ
やっと仕事が終わった

予約しておいた
小さなホールケーキを
取りに行って
急いで帰ろう!



ケーキ屋に寄ってから
帰宅した俺は

駐車場に車を止め
部屋を見上げた。



灯りがもれる
自分の部屋の窓を見ただけで


幸せな気分だ。


胸が高鳴る俺は
駆け足で階段を上った。




チャイムを鳴らすと

ドア越しに『は~い』と

ゆきの声が聞こえた。




『俺だよ』




ドアが開き
ゆきが笑顔を見せる。


その笑顔が見たくて

鍵を持ってるのに
俺は
わざとチャイムを鳴らす。




『お帰りなさい』



『ただいま、ゆき』



玄関のドアを閉めたあと

すぐにゆきを片手で抱きしめ

軽いキスをした。



ゆきは
うれしそうな笑顔で

俺にされるがままだ。



『ゆき、はいっ。

これね、

バレンタインのお返し!!』



そう言って
背中にかくしていたケーキを
ゆきに渡した。


『ありがと~

うれしいっ

開けていい?
早く見たいな~。

あきひろくん
早く中に入って!』


ゆきは
そう言って俺の手を握り

部屋の中へと引っ張った。













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