雨の人
第7章 ヤキモチ
今日は、ゆきの誕生日
仕事を終わらせ
俺は、ゆきの家まで
車を走らせた
2人で食事に出かける予定なんだ
ゆきの家の前に車を止め
いつものように
「着いたよ」
とメールをした
ん?
いつもなら
すぐに玄関から出てくるゆきが
なかなか出てこない
もう一度、メールをしてみる
しばらくして
玄関から顔を出したゆきは
ごめんね
と言うような表情をして
急いで助手席に乗った
「あきひろくん、ゴメンね。
ちょうど仕事の電話
かかってきちゃって…」
「仕事?…またアイツ?」
アイツとは
最近ゆきの部署に配属された
後輩男子。
頻繁にゆきの携帯を鳴らす
俺にとっては不快なヤツだ。
ゆきの、後輩と言っても
ゆきより歳上。
だから、もちろん
俺よりも歳上なんだ。
それだけで、なんかムカつく。
「う、うん…
残業してるみたいで…
でも、もう説明したから。
もう、かかってこないから…」
「いいよ、ゆき。
ごめんな、ゆきが
悪いわけじゃないのに。
俺、ちょっと…
やいてるだけだからさ。
さ、行こうか。」
「うん!」
よかった。
ゆきは笑ってるのが一番だ。
それから俺は
アイツの事を話題に出さないよう
気をつけながら、車を走らせた。
今日は
ゆきの大好きな海の見える
カジュアルなレストランで食事。
乾杯の時に
早速プレゼントを渡した。
ホワイトデーに
プレゼントしたネックレスと
同じブランドのピアスだ。
何が欲しいか聞いても
ゆきは
食事だけで他は何もいらないと言う。
そんな訳にはいかないよ、
俺は、ゆきの喜ぶ顔が見たいんだから。
ゆきは、プレゼントに喜び
笑顔を見せた。
あまり強くないお酒も
いつもよりすすみ
少し酔っている。
少し酔ったゆきが、俺は好きだ。
食事が終わると
少し酔ったゆきを車に乗せ
俺の部屋へと向かった。