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雨の人

第9章 飲み会とアイツ

そっと店を出た私は
お店の玄関脇で
川村さんに電話をかけた。


でも

何度コールしても
出てくれない。


お風呂にでも
入ってるのかな……


まだ、席に戻りたくない私は
合間をとりながら
何度も川村さんに
電話をしていた。


すると

不意に玄関があいた



「あ、ゆきさん
ここにいたんだ~

なかなか戻って来ないから
心配したんですよ?

大丈夫ですか?」



藤田さんだ…


私が戸惑っていると



「酔って気分でも
悪くなったのかな…と思って
様子見にきました」



と、笑顔を見せた。

悪い人ではないんだけど…



「あの、藤田さん
私大丈夫ですよ。

ちょっと
外の空気吸いたくなった
だけですから。

先に戻ってて下さい
私もすぐに行きますから」



「あ~気持ちいいな~。

僕も、ちょっと
外の空気吸ってようかな~。」



藤田さんは、
そう言いながら私の顔をみて

ククッと笑った



「そんな困った顔
しないで下さいよ、ゆきさん

僕のこと・・

そんなに嫌いですか?」




「いや、そんなんじゃ…

そんなんじゃなくて…。


藤田さんは、
いい人だと思います。


でも……」




「彼氏がいるから?
ですか?

いつか、
僕の方がいいな~って
思ってくれるの
待つのもダメなんですかね?」




「あ、はい…」




「ハッキリ言うなぁ・・・
そんなに言われたら
僕だって凹みますよ?」



「ご、ごめんなさい・・」



「ゆきさん
そんなに大切な彼って
どんな人なの?

やけるな~。

でもさ
僕がゆきさんを
好きな気持ちは
仕方ないから

その気持ちは許して下さい。

お願いします。」




「そんなこと…」



そこまで言いかけた時


私の携帯が鳴った。

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