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雨の人

第10章 嫉妬

side ゆき



「あれ?ゆきさん、
今日も弁当ですか?
今日も、美味しそうですね~」


藤田さんだ。何回言っても
名前を呼ぶ藤田さんに
私は困っている


「藤田さん!
苗字で呼んで下さい。
私、青山です。」



「まぁまぁ、お昼休みくらい
いーじゃないですか~」


藤田さんは
私と違って話が上手。

いつも私は、すぐに
言いくるめられてしまう。


「ゆきさん
どうして急に
お弁当持ってくるように
なったんですか?」


「彼に…彼に毎日作ってるから
私も一緒に作ってるだけです。」


「あ~そう言うことか…
こないだの、あの彼?
ですか?」


「そうです」


「ふ~ん…。

ゆきさんのタイプは
あんな感じなのか…。

俺の方が、背が高くて
カッコよくないですか?
乗り換えません?」



「乗り換え?!
絶対そんなことしません!!

それに…彼は…
背は高くないけど
とっても
ステキな人ですから!」



「あっ!
あ~~~!

ゆきさん、耳真っ赤ですよ。
ほんと、可愛いな。
一回だけ、僕とデート
しましょうよ。

そしたら、僕の事、
好きになっちゃうかも
知れませんよ?」



「遠慮します!
そんなこと
絶対ありえませんから!

藤田さん、早く食堂行かないと
食べるもの、なくなりますよ?」



「そしたら、ゆきさんのお弁当
半分もらいます。」



そう言って、藤田さんは
お弁当の中の
から揚げをひとつつまんで
パクッと食べて



「美味し!ごちそうさま~」



と、言いながら
食堂へと歩いて行ってしまった



もぉ〜・・・・・

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