チョコレート
第14章 花火
「急にいなくなんなよ」
「ごめん陸」
「しっかりつかまっとけ」
そう言って陸は私の手を
ギュッと握って
また歩き始めた
「あ、金魚すくいしたいな」
「いいよ」
お店に行き
お金を払って
ポイとボウルをもらった
「よしっ」
私は浴衣の袖を捲り
金魚すくいをし始めた
「なんか彩やんちゃみたい」
「え?」
「袖捲ってるから」
「やんちゃでいいもん」
話しているうちに
一匹とれた
「やった!」
結果一匹しかとれなかった
金魚を追いかけている間に
紙が破れてしまったから
お店の人に
ポイとボウルを返して
金魚も逃がした
「持って帰らないのか?」
「うん、かわいそうだし。陸なんかしたいやつある?」