テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 銀の匙でひと口ずつ、横たわった王の口許に運びながら、藍那は不覚にも涙が出てくるのを止められない。
 五日前には逞しい腕で自分を抱きしめ、熱いキスを交わした男が最早、床の上にも起き上がれないほど衰弱してしまった。
 すべては自分のせいだ。私が王さまをあの時、引き止めていれば、雨に当たることもなく、王さまは今もお元気だったに違いない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ