テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 王の呼吸がいっそう荒くなった。急いで侍医を呼ぼうとした藍那の手を王が掴んだ。藍那はハッとして王を見つめる。 
 王はぜいぜいと息を喘がせながらも、今度ははっきりと声に出して言った。恐らく最後の力を振り絞ったに違いなかった。
「もし一つ心残りがあるとすれば、良人としてそなたに何もしてやれず、守ってやれなかったことだ。不甲斐ない私はこの国の王たる資格もない。王妃よ、どうか私が死んだら、私の存在をこの国の記録から一切消してくれ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ