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　と、藍那は自分の手が何かをしっかりと握っていることに気づいた。それは信じられないほど豪華で優美な珊瑚の簪であった。大きな紅珊瑚を花の形に仕上げた逸品だ。
―これは！
　この簪が誰から誰へと贈られたものか、藍那は知っている。これは尚正王から王妃真戸那へと十八歳の誕生日に贈られたものだ。