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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第5章 The king who disappeared~消えた国王

 そう、確かにあの時代、琉球の海に入るときも懐にはこの簪を忍ばせていた。藍那にとって大好きだった男と過ごしたわずかな時間を偲ぶたった一つのよすがであり、彼の形見でもあったからだ。
 あの時代で過ごした日々が本当に夢であるならば、このようなものが今、自分の手許にあるはずがない。
 更に、藍那はデスク上に開いたままになっている本を見た。その側に何か落ちている。

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