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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第2章 Fall in love~恋に落ちて~

 男は小さく首を振り、優しげな眼で藍那を見返す。その漆黒のどこか一抹の儚さを秘めた瞳に見つめられると、こんなときなのに、藍那はドキンと小さく心臓が跳ねるようで。
 思わず頬が熱くなり視線を逸らしてしまった。
「たとえ一時とはいえ、良人たる私を忘れてしまうとは、よほど疲れているのだろう。もう私は大丈夫だ。このとおり、意識もしっかりとしておるゆえ、そなたは下がって少し寝みなさい」

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