テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第2章 Fall in love~恋に落ちて~

「ご看護の疲れでうたた寝をなさっている王妃さまが目覚められ、記憶をなくされているとお知りになったときは首里天加那志も随分と愕かれたようでございますが、すべては病弱な良人である我が身のせいだとかえってご自分を責めておいでです」
 その女官長の言葉には胸をつかれた。あの青年の眼がどこか哀しげなのは、やはり事情があったのだ。生まれながらに王となるべくして生まれながら、国王の重責に堪えられないほど身体が弱かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ