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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 氷の砕いたものに果汁をかけた氷菓子を匙でひと口ずつ口に運び、汗の雫が浮いた王の顔を丁寧に拭う。その世話ぶりは女官長を初め御内原の女官や王の重臣たちに思わず涙させるほどのものであった。
 少し調子の良いときには、王が床の上に身を起こし、王妃と仲良く話し込む姿に周囲の者たちは心和ませた。十九歳の王と十七歳の王妃は側で見る者をも思わず微笑ませるほど仲睦まじかった。

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