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僕は子供じゃないっ

第3章 見つけ猫

柴輝side




―はあっはあっ…逃げなきゃ…


真っ暗な建物から駆け出して、僕は無我夢中で走った。


見たこともないビルに囲まれた細い路地を手探りで駆けていると、街灯の並んだ道が見えてきた。


その道を辿っていくとマンションがあった。


「マンション、隠れて休める…?」


そう思った僕は中に入って、エレベーターで一番上まで登った。


玄関の前に纏められていた段ボールの1つを取り出して組み立てた。


のそのそと中に入って、自分で軽く蓋を閉めた。


「もう寒い…ない。怖いもない…。」


自分に言い聞かせて自分を強く抱き締めた。







オーストラリアでパパとママと幸せに暮らしていたのに、学校の帰りに誘拐された僕は日本まで連れて来られた。


暗くて怖い部屋に閉じ込められて変な風に触られて、耐えきれなくてなんとか逃げてきた。


「…indifferent…surely….」


そう唱えて僕は目を閉じた。



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