この前、人を拾いました
第105章 ⑩—5 彼の言葉の真相は
レイは、自分の誕生日が嫌いだった。
祝われることも嫌いで……
ハッとした私は、西園寺代表を見つめる。
すると、西園寺代表は、息をたっぷり吸い込んで、無言で頷いた。
ああ……
「妻は出産で、
礼二の出産で命を落としました」
私……っ
全然気付かなかった。
「じゃあ、いらないって言い出したのは…
出産時に、みきさんに何かあるのが嫌だからってことですか…」
納得した、とばかりに若村さんが答える。
「結婚して、突然怖くなったんですかね?」
「っ……この前、私の勘違いだったんですけど、妊娠してるかもしれないって思った時があって…」
「ああぁ。じゃあその時、急に現実味を帯びたんですね…」