この前、人を拾いました
第59章 ⑥―1 生きてますよー
「なに?黙りこんじゃって。」
と会社のエレベーターのボタンを押しながら百合子先輩が言った。
「いや、ちょっと疑問はありますけど…
確かに誕生日は知っとくべきですね。」
少しは
カップルらしいことしてみたいという気持ちだって
私にないわけではない。
「まぁ、でもレイくんのことだから、自分の誕生日が近付いたら騒ぎ出しそうだし、まだなのかもね」
エレベーターの文字盤を見上げながら百合子先輩が言った。
「確かに…」
じゃあやっぱり直近のイベントはクリスマス…か。
ケータイで日にちを確認すると、あと三日だということに気付きびっくりした。
そうかぁ、通りで街が異様な盛り上がりなわけだ。
「ていうか、私のことばっかり言ってますけど、百合子先輩はどうなんですか?」
私が少しからかうようにして百合子先輩を肘で軽く小突くと、百合子先輩は何が?と言いながら明らかに動揺した様子で目を泳がせた。
うわっ
この反応、
彼氏いるっぽい!!!!
「誰ですか誰!!」