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この前、人を拾いました

第63章 ⑥―5 10th Birthday

頭は良かったとは言え、まだ10歳だった彼のショックがどれだけのものだったのか、私には分からない。


乳母は
茫然とする礼二に
礼二が悪いのではなく、母は元々身体が弱かったことを懸命に説明したらしい。


だけど、そんな言葉礼二には聞こえていなかった。



礼二は虚ろな目をしたまま、何も言わずにゆっくりと家を出ていった。




それから先、
礼二がどこで何をしたのかは誰も知らない。

きっと本人も目的は定めていなかったのかも……



夜になり、
礼二の誕生日パーティーが近付いても、礼二が帰ってこないので、家中の人間が慌てはじめた。

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