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この前、人を拾いました

第63章 ⑥―5 10th Birthday

病院につくと
気が動転して転びそうな父を執事たちが支えながら、
礼二のところに向かった。



扉を開けると、

そこにはたくさんの管に繋がれ、頭には包帯が巻かれた弟が静かに眠っていた。



「幸い命には別条はありませんが、頭をひどく強打していまして……」


まるで操り人形のような礼二の隣で医者がなにやらごちゃごちゃと言う。



父が声を殺して泣いているのを見ながら、私はまだ小さなその手を握ってただじっと礼二を眺めた。

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