テキストサイズ

この前、人を拾いました

第63章 ⑥―5 10th Birthday

数時間して


礼二はゆっくり目を開けた。


「「礼二!!!」」


私と父は疲労でうとうとしかけていたのも忘れて、夢中で礼二の顔をのぞいた。



「俺だ!
お前の兄だ!総一だ!!」



自分の声が頭の中でぐわんぐわんと響いた。



礼二はゆっくり首を俺の方に向けると



「分かるよ…」



と小さな声でポツリと言った。




良かった……


記憶喪失とかじゃなかった…。



「無事で良かった…

お前は交通事故にあったんだ。」


安心したせいか、私の足はガクガクとして、その場にあるイスに倒れるようにして座った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ