テキストサイズ

この前、人を拾いました

第63章 ⑥―5 10th Birthday

「君、持ってきた花をいけてくれ。」


そばにいる執事に父は指図すると、
執事はユリの花束を持って、礼二の後ろにある花瓶にいけた。



「ユリ…」



大きく花開いたユリをちらと見ると、礼二はぽつりと呟きながら父をじっと見つめた。



「あぁ、キレイだろう」



といって微笑む父。



フワッとユリの香りが鼻を掠めた。



「お母様が好きだった花……」



え?



母が好きだった花……?



執事を含めて、その場みんなの動きが止まった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ