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この前、人を拾いました

第65章 ⑥―7 26th Birthday

「レイ…」



その大きな背中に私はゆっくりと手を伸ばした。



「僕は…

僕は誕生日は嫌いなんだっ!

祝ってもらいたいだなんて思ってない!!

ほっておいてくれ!!」




あと少しで触れそうなところで、レイはまたいつにない剣幕で怒鳴り出した。



そのとき、


ああ
私、甘く見ていたな、と思った。


レイが負っている心の傷は、私が思っている以上のものなんだ。




きっとレイなら、

私が一生懸命用意して、

おめでとうっていって、

一緒にケーキを食べて…



そしたらきっと、


『ありがとう』って


『誕生日っていいね』って


いつもみたいな笑顔で言ってくれるはず


誕生日の楽しさをまた思い出してくれるはず

って



勝手にそう思ってた。

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