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この前、人を拾いました

第65章 ⑥―7 26th Birthday

カチカチ………


今まで気にしたこともなかった時計の音が、

とても大きく響いているように聞こえた。




「レイは……


生まれたことを……


後悔しているの……?」




ボーッとどこか遠くを眺めるレイに向かって静かに尋ねると、

レイはカクッと膝を床につけた。



「母の苦しむ顔…

みんなが泣きながら母の死を悲しんでいる様子…

そんなのばっかりが
みんなの瞳に映ってる…


僕が生まれたから…」




そう静かに語ったレイの頬に


ゆっくりと一筋の涙が流れた。

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