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レイは

私の肩にゆっくりと腕をかけると、

そのまま優しく私を抱き締めて、


「みきちゃん……」


と弱く呟いた。



「レイ…

お母さんが亡くなったのは確かに悲しいことだったのかもしれない。


だけど、同時にレイの誕生をみんな喜んだはずだよ。」



私は顔をあげて

初めてみるレイの涙を

優しく拭った。


「よろ…こんだ…？」


レイは当然のことを
聞き返えした。


「みんなの…
悲しい記憶ばかりを視ていたらいけないよ…。


私には人の過去は見えないけれど

でも、"今"、レイの周りにいる人たちがみんなレイを愛してるのが分かる。


過去ばかりを視ていて、
普通に分かることが分からなくなっちゃダメだよ…」


「でも……っ」


ポロっと落ちたレイの涙をまた私は拭う。


そして少し癖のかかった髪を軽く触りながら、ジッとその瞳を見つめた。



「……レイ、大丈夫だから…。


誰もレイを責めてない。


責めてるのは、レイ、自分自身だけだよ？」