この前、人を拾いました
第91章 ⑨ー1 ドライバーはクレイジー
『近いっ!!!よしっ!!!今日はドライバーの気分だっ!!!僕が運転してあげようっ!』
私の瞳を見ながら、そんなこと言ったレイ。
きっとまたあの変な能力使って、私の記憶を勝手に見たレイは、私の実家までの道を割り出したのだろう。
『え?レイって運転出来るの?』
『ハハハハハっ!!!さきちゃん!?!?!?そんな愚かな質問をするのは時間の無駄だっ!!!僕に出来ないことなんか、このちっぽけな世界には何一つ存在しない!!』
空気を読む事。
他人を尊重する事。
声のボリューム調整。
そして、普通に生きる事。
一瞬で、レイが出来ない事が一気に頭に浮かんだけど、そんなことを口にしたら、ただただめんどくさいだけだから、私は、ニコっと笑って黙った。
というか、この時の私は、レイが運転できるという事実に単純に驚いてしまって、ドライバー・レイを妄想してワクワクしていたのだ。