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この前、人を拾いました

第97章 ⑨—7 誰のお蔭で



「草間さん……」


「草野です……」


「あぁ…これは失礼……」



シリアスな空気の中に流れる親同士の会話。



私は笑うことすら出来ないのに、若村さんはフッと隠れて笑う。
少し緩んだ空気をしめ直すかのように、西園寺代表が再び草野さん…と続けた。



「こいつは、本当、小さいときから自由奔放でね……」



小さいレイが走り回っているのが、目に浮かぶ。



「総一みたいな落ち着きもないし…

礼儀もなっちゃあいないし…」



総一という名前が出て、頭を下げたままのレイの身体に力が入るのが分かった。



「なのに、何かやらせるとすぐ出来るようになってしまうような嫌な子でした」



そうそう。



「そのくせ、飽きっぽいから、物事に本気になったこともない…


本当にどうしようもない息子でした。


でもね……」



そう言いながら、西園寺代表は私の方に顔を向ける。


突然のことに、私は少しだけ後ずさった。

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