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この前、人を拾いました

第97章 ⑨—7 誰のお蔭で



「さきさんへの気持ちは本気ですよ……。


親父だから見ていれば分かる…」



にこりと微笑まれて、私は顔が熱くなるのを感じた。



なんて素敵な言葉だろう……

名前さえ合っていれば、私は泣いていたに違いない──…



お父さんに向き直った西園寺代表は言葉を続ける。



「礼二には、母がいません。


礼二を産んだのと同時に病でこの世を去りました」



ふと


レイの誕生日のことを思い出した。


初めてみたレイの涙。


あんなに苦しかったことも、



───────僕、生まれてきて、よかった…


あんなに嬉しかったこともない……

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