占いの館【YES∞NO】
第8章 辛口チョコレート
何度挑戦しても…
俺の作るチョコレートは…
口当たりも悪く…最悪だった…
大会のためのチョコレートのデザイン、パフォーマンス…もちろん味もだが…
まったく…進まない…
ホテルの厨房に缶詰になる日々……
俺は……フリーライターの河野に見事に振り回されていた…
「…南城、無理するな、大会には、まだ時間がある…
気持ちの切り替えも大事だぞ…」
「すみません…外の空気…吸ってきます」
「おお、リフレッシュしてこい…」
俺は、厨房を出て…自分のロッカーにキャップを入れ、上着を出すと…
エプロンの上から羽織り…
外に出た…
秋の風が冷たく感じた…
「…寒い…」
外は、すっかり暗くなり…
街の明かりか…キラキラと遠くまで列なり…綺麗だった…
暗いビルは…ビターチョコ
街灯に照らされる街路樹は、キャラメルチョコ…
目に見える綺麗なモノは…全てチョコでコーティングして…甘い香りで、皆を幸福にしたい…
なのに…俺の気持ちは…
イライラで…落ち着きがない…
くそ……、気にしなければいいのだが…
一度気にしてしまうと…
拭うのに時間がかかる……
くそ!!!!!!