従わない奴隷
第12章 ユウリと今野
Side ユウリ
靴を脱がないまま
ドアノブを
握りしめたまま
外の音を
聞いていた
いつもそうしていた
ライキさんの
去っていく車の音が
聞こえなくなるまで
いつもそうしていた
なかなか
聞こえない
エンジンの音
聞こえるはずなのに
聞こえない
階段を降りる音
そこに
居るの?
ライキさん
ドアの向こうに
いるの?
何十分もたってから
ライキさんの
階段を降りる音が
聞こえた
車のドアを閉める音
エンジンを
かける音
その
いつもと同じ音を
目を閉じで聞いた
そして
車が
走り去る音
それから
靴を脱いで
部屋に入って
すぐに
鏡を見た
いつもと
ちょっと
違う自分
少し・・・
いつもより
キレイな自分
ライキさん
どうして?
どうして
あんなこと
言ったの?