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その時

俺の携帯が震えた




くっそ
もうちょっとだったのに



誰から電話だよ！







あっ・・


え？



マスター？






電話は
バイト先のマスター
からだった


急いで
電話に出ると


電話の向こうから
出なきゃよかったと
思うほどの声が
聞こえてきた



「ライキてめぇ
なにやってんだ、ごらぁぁ！！」



え、な、なにって



言えね～～～～





ま、まさか・・・





時計を見ると
とっくに
出勤時間は過ぎていて

もう
22時を過ぎていた




「す、すぐ
ほんと
すぐ行きますから

マジすんません！！」





「ん・・ん・

ライ・・


あっ！

ラ、ライキさん！！



私・・・・・」




急いで飛び起き
皮ジャンを
はおりながら

テーブルの上の
冷めたお茶を
飲んだ




「ごめん
ユウリ、俺行くわ」




「や、やだ

すみません

ね、寝ちゃって・・」




「（笑）いいよ

気にすんな

な？」




まだ
半分寝ぼけたような
顔のユウリの
頭を軽くたたいて


玄関へと歩いた



急いで
ついてくるユウリは


やだ・・


どうしよう


もう・・


とかなんとか
心の声を
ちっちゃい声で
全部
しゃべっていた（笑）




靴を履いてると


背中から



「ごめんなさい

ライキさん・・」



って

元気のない声が
聞こえた




俺は

靴を履いて
振り向いて



ユウリを

素早く



一瞬だけ

強く抱きしめて




カラダを放した




「またな？」




「・・・・」



驚いて
声も出ないのか？



「来ちゃだめなのかよ」




「・・い、いえ・・」




クスっ（笑）

やべぇ
バイト行けなくなる




「じゃあ、またな？」




「はいっ」




俺が笑うと

ユウリも笑った




それから
すぐにドアを開け


俺は
勢いよく
階段を降りた





ユウリと
もっと
一緒にいたい気持ちを

断ち切るように。