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従わない奴隷

第14章 ユウリの恋人役


軽く抱きしめて


ユウリに
また来るからって言って

すっと
カラダを放して


玄関のドアを開けて



じゃあなって
言って


ドアを閉める






はずだったのに





俺は
どこまでも
カラダを固くする
ユウリを抱きしめたまま


突っ立っていた






ユウリを

放すきっかけを

失ってたんだ





あまりにも



心地よくて








「ユウリ・・帰るよ」




「・・ん」



俺の胸の方から
聞こえる
ユウリの声が
愛おしい



「もう・・行くな?」



「・・ん」



なにやってんだ俺

早く
イケよ
仕事!




「また来るから」




「・・・はい」





せーの だ。


せーので
この手を

放そう




「せーのっ」




「え?」



急に「せーの」
なんて言われて

急に
カラダを放された
ユウリは
びっくりした顔で
俺を見た




「こうでもしなきゃ

仕事いけそうにねーわ



じゃあな
ユウリ」





「・・はい」




それから
その勢いのまま

俺はドアを開けて



階段を駆け降りた









最近


いつも階段

駈け下りてねーか?





って思いながら



苦笑いしながら。





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