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月琴~つきのこと~

第1章 第一話【宵の月】 一

     一

 卯月になってからというもの、めっきり温かくなった。朝夕はまだ上に一枚羽織るものが欲しいほどだが、昼間は少し動けば、うっすらと汗ばむほどの陽気になる。生まれつきの性分からか、小文は家の中でじっとしているのが何より苦手だ。

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