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月琴~つきのこと~

第3章 第二話 【月琴~つきのこと~】 一

―あのひとは、まだ姉(あね)さまを好いている。
 三年前の夜、月が出ていたかどうかを思い出そうとして、妙乃はふと、そんなことを思った。今宵、良人となったばかりの嘉平太が今もなお小文を愛していることを、妙乃は勘づいている。嘉平太がどういう心情で、姉の身代わりとなった妙乃と夫婦になる気になったのかは判らない。

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