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月琴~つきのこと~

第3章 第二話 【月琴~つきのこと~】 一

 自分より十歳若い妻に、二十六の嘉平太は律儀に頭を下げ返した。いくら夫婦となったばかりとはいえ、態度にしろ物言いにしろ、あまりによそよそしく他人行儀だと思ったけれど、それを口にすることもできない。
 妙乃は取りつくしまもなく、所在なげにうつむいて座ったままだった。

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