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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

 それでなくとも、妙乃もまた、小文ほどではないが、なかなかの美貌である。しかも、その面立ちは姉小文をどことなく彷彿とさせる。若狭屋の倅は、姉が駄目なら妹でも云々と兄にせっついて何とか信濃屋との縁組をまとめてくれるように頼んだが、兄は極道な弟の言い分なぞ端から相手にしなかった。
―三年経って女が死んだと見りゃあ、今度は妹の方に乗り換えるたァ、何とも鮮やかなお手並みだ。こちとら見習いてえもんだな。

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