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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

 その時、嘉平太がひたと妙乃を見た。
「だが、これだけは信じてくれ、妙乃。最初は確かに義姉さんを忘れられなかったが、この半年ほど共に夫婦(めおと)として暮らす間に、お前を愛しく思うようになってきたのだよ。だから、先刻、妙乃が出てゆくと言った時、ついカッと頭に血が上って、みっともないことをしてしまった」

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